相続税の申告が必要か不要かを判断する方法

相続税の申告が必要かどうか検討していますか?


相続税の申告は被相続人がお亡くなりになった日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
例えば、8月6日に死亡した場合にはその年の翌年6月6日が相続税の申告期限になります。


よって、相続人の方は四十九日が終わるくらいから、お亡くなりになった方の財産の整理をするとともに、相続税の申告が必要かどうか検討する必要があります。

1.相続税の申告が必要な人の割合

相続税の申告は、すべての相続で必要となるわけではありません。
平成29年中に亡くなられた方(被相続人の数)は約134万人(平成28年約131万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約11万2千人(平成28年約10万6千人)で、税金のかかる人の割合は8.3%(平成28年8.1%)となっており、平成28年より0.2ポイント増加しました(国税庁発表)。

ちなみに、平成29年の静岡県内の相続税がかかる方の割合は、全国平均を上回る9.9%となっており、全国の都道府県の中で第5位となっています。

また、相続税はかからないが、相続税の申告は必要である方も合わせると、全体の12.4%の方が相続税の申告書を税務署に提出していることになります。

12.4%という数字を見ると、思っていたより相続税の申告が身近であることが分かって頂けるかと思います。

2.相続税の申告が必要か不要かを判断する方法

相続税申告が必要か不要かを判断するには、相続財産の評価を行った上で、その金額が基礎控除を超えているかどうかを計算する必要があります。

まず、相続財産の評価は、不動産、有価証券、預金等のすべての財産について、お亡くなりになった日における時価を算出し、それを合計して計算します。

そして、被相続人の借入金等の債務や葬儀にかかった費用などは財産から控除します。

次に、基礎控除とは、相続税の非課税枠のことです。

上記の相続財産の評価の合計が、基礎控除の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下であれば、相続税の申告をする必要はありません。

基礎控除は法定相続人の数が多いほど金額が大きくなるので、二次相続(夫婦のうち後に亡くなった方の相続)の方が、一次相続(夫婦のうち先になくなった方の相続)よりも相続人の数が配偶者の分減るため、一次相続の時に二次相続の相続税までシミュレーションして遺産分割を考える必要があります。

3.相続税の申告は必要だが、税金はかからない場合

相続財産の評価の合計が基礎控除を超えている場合には、相続税の申告が必要となります。
しかし、申告が必要な場合でも相続税がゼロとなるケースも実際は多いのです。それは、配偶者控除(配偶者の相続税額軽減)と小規模宅地の特例を適用して税額がゼロになるケースです。
なお、配偶者控除と小規模宅地の特例を適用するには、相続税の申告をすることが要件になっています。

3−1.配偶者控除を適用する場合

配偶者控除とは、簡単に言うと「亡くなった人の配偶者が遺産を相続した場合には、1億6000万円までは相続税は課税しません」という特例です。

例えば、9,000万円の財産を持っている人が亡くなった場合に、その相続人が配偶者と子供一人だったとします。
基礎控除は4,200万円(3,000万円+600万円×2人)ですので、相続税の申告は必要です。

そこで、遺産分割により9,000万円のすべてを配偶者が取得することになったとします。
その場合には、1億6,000万円以下ですので、相続税はゼロとなります(ただしこの分割方法は、二次相続の税金が多くなることが想定されます)。

配偶者控除の適用を受けるためには申告が必要となりますので、納税がゼロであっても相続税の申告は必要となります。

3−2.小規模宅地の特例を適用する場合

小規模宅地の特例とは、こちらも簡単に言うと「自宅の土地については、配偶者や同居の子供等が相続した場合には、その土地の評価を80%減額します」という特例です。

仮に1億円の土地であったとしても特例の要件を満たせば2,000万円で評価ができるため、適用を受けると基礎控除以下になるケースが多いです。

この場合でも配偶者控除のケースと同様に、納税はゼロでも相続税の申告はする必要があります。

4.生前から相続税について検討することが大切

自分の家は相続税なんて関係ないと思っていた方でも、いざ相続が発生して計算してみたら基礎控除を超えていて、焦って相続税の申告をしたというケースは多いので、生前から税金が安くなる方法がないかも合わせて一度シミュレーションしてみると良いと思います。


 コラム by 橋本昌幸税理士事務所 税理士 橋本達広

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